柏市民新聞第1559号引用


進む財政硬直化
 政策の選択幅狭まる 平成20年度一般会計決算

 柏市の平成20年度の決算がまとまった。一般会計の歳入と歳出の決算規模は、ともに前年を上回り、歳入総額約1035億円(前年度比5.1%増)、歳出総額約978億円(同5.0%増)。これから翌年度への繰越金を除いた実質収支は、約52億2100万円の黒字。前年度を約3億5100万円(同7.2%増)上回った。市の財政力を示す財政力指数は1.027で、前年度に引き続き1を越え、普通交付税の不交付団体となった。しかし、財政の弾力性を表す経常収支比率は94.3%に上昇し、1.2ポイント悪化。税収が伸び悩む中、扶助費や人件費など毎年経常的に支出される経常経費の圧迫により財政の圧迫により財政の硬直化が続いている。今後、人口減少や高齢化が進み税収の伸び率の低下が予想されるとともに、市場移転や新中央図書館の建設など大型事業が控えていることなどから、川上博司財政部長は「20年度は収支を確保することができたが、今後は事業の選択が必要になってくる」と分析している。

 平成20年度の市税収入は、昨秋のリーマンショックの影響により法人市民税などが減少したものの、個人市民税や固定資産税が伸び約643億7千万円と前年度より1.1%増。生活保護対象者の増大や市街地再開発事業の進捗に伴い国・県支出金が伸び約120億7千万円と前年度に比べ12.2%増えたことなどから歳入総額は増加した。
 市債発行額は約77億6千万円と元金償還額以内(約120億5千万円)に抑制。長期に渡る財政負担を認める債務負担行為の支出予定額も21億円減の約600億円に減らし、国が平成19年度から3年間認めている公的資金補償金免除繰上償還の実施効果もあり、市債残高(全会計)は約1964億2千万円と約98億3千万円(前年度比4.8%減)に減少。財政負担の抑制を進めている。
 また、積立金残高(全会計)は、年度末で約135億6千万円(うち財政調整基金は約37億円)と前年度に比べ約7100万円増。向こう10年間増加が見込まれている団塊世代の退職金に充てるため職員退職手当基金から3億5千万円を繰上償還に充てたが、庁舎建設基金や介護保険事業財政調整基金などの特定目的積立基金に合計で7億2千万円を積み増しした。
 これら第三次行政改革集中プランに沿った行革推進により、公債費の財政負担の度合を示す実質公債費比率は、前年度比0.2ポイント減の12.4%。長期的な債務負担の程度を示す将来負担比率も、124.7%と約20ポイント大幅に改善した。

経常経費が圧迫
 しかし、歳出の8割以上を占める経常経費は増加の一途。特に、生活保護などに係る扶助費は7.6%増大し、職員定数の削減は進めているが団塊世代の退職者がピークに達しているため人件費も0.3%の減少で止まっている。また、発行抑制はしているものの他市に比べ市債残高は依然多く公債費も2.5%増となっている。さらに、(仮)こんぶくろ池公園用地や風早南部小学校用地など先買い地の買戻しや、(仮)総合保健医療福祉施設工事、市街地再開発事業など大型事業の着手などにより投資的経費も膨張し、財政の硬直化は進んでいる。ただ、先買い地の買戻しは、実質公債費率の上昇に影響を与えることもあるが、一方で将来債務の縮減ともなり将来負担率の引き下げにも繋がるため、一概に財政負担として捉えられない要素がある。
 財政部は、引き続き市債残高の縮減を図り、メリハリのある事業選択を行なうなど経常収支の改善に努めていく考え。

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