引用 柏市民新聞 第1542号

 
中高層建築物をはじめとする建物の建設や開発などをめぐって、ここ数年、市民と事業者が対立する事例が目立っている。この対応策に近隣市では条例化が加速。そのなか、柏市でもこうした事態を未然に回避し早期解決を図るための手続きを定めた、いわゆる「紛争防止条例」の制定に向け、1日から市案の概要・骨子を公表。市民意見を募っている。執行部は市民から寄せられた声や12月議会での議論を参考に、関係部署との調整を図った上で3月議会に提案する予定だ。

 中高層マンション等の建設をめぐる日照権など近隣の生活環境への影響。既存住宅との境に7㍍の擁壁を設けた篠籠田の宅地開発。不特定の人が出入りする可能性に周辺住民の不安が持ち上がったワンルームマンションの問題・・・。建物の建設計画や開発計画、あるいはその工場に起因して近隣住民と事業者間に生じる対立や争い事。
 この条例は、両者がこれに至る前段階で喰い止める防止策と、そうなった場合の早期解決策を2本の柱とする。
 従来の要綱に基づく手続きに加え、周囲に影響が大きい大規模な計画を特定事業とし、これを対象に構想段階からの手続きを義務付けたほか、対立が生じた場合のあっせん、調停の手続きを定めたものだ。
 具体的に、特定事業には、計画の公開以前に構想の届出や周辺住民への周知・説明、意見の聴取などが規定される。事業者には手続きが複雑化する一方で、住民からみると、早い時点で事業の概要を知り、計画が固まる前に意見を述べる機会が確保されることになる。市は、早い段階で当事者間に対話の場を設けることにより、早期解決につなげたい考え。
 また、要綱にも定められている計画の公開後については、住民は要望を出し、事業者はこれに答える手続きを新たに追加。さらに、一連の手続きのなかで重要なものを対象に、履行しない事業者に対する市長の勧告と事実の公表を定める方向で検討している。
 対象は▼一定規模以上の中高層建築物▼パチンコ屋や公衆浴場などの特定用途建築物▼ワンルーム形式の集合建築物▼1万平方㍍を超える大規模建築物▼市街化区域にかかる開発行為。
 12月議会では、共産党の日下みや子議員が住民説明実施の確認手法や適切な周知期間、擁壁の扱い等について質問。都市計画部の日暮正人部長は擁壁について、開発行為を伴うものを条例の対象とする方針を示した。
 こうした条例制定の背景には、問題解決に向けた条例化を求める声の高まりに加え、近隣自治体の動向もあったようだ。
 これまでは、こうした事例が持ち上がるたびに議会を巻き込んだ論争に発展。「法律やルールに則って進められた事業に規則は困難」という立場から指導要綱で対応する方針の執行部に対し、議会からは「困っている住民の立場に立つべき」「紛争の防止・解決に条例化によって市は積極的にかかわるべき」とする声が。要綱から条例化による対応に舵を切った。

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