麻生内閣の経済対策(中)
2009年5月9日 国会・国政引き続き現在審議されている21年度補正予算の内容について記載しておきます。
尚、この補正予算の内容については、一部分のみ取上げていますので、全ての施策などはこの頁下部のURLよりご確認下さい。
Ⅱ現在審議中の21年度補正予算
1.緊急的な対策
けんちゃんよりのコメント:すでに民主党案で提出している法案に良く似ているのが☆印。内容としては若者や母子家庭など雇用保険から漏れてしまっている人たちへの支援策を含んでいる。との説明があった。
雇用創出対策では、緊急雇用対策基金の3000億円への拡充が盛込まれている。
これまで、派遣切りや内定取消などで泣かされてきた方への配慮が盛込まれてきており、やっとという印象だが、やらないよりはもちろんやったほうがいい政策が多いと感じられる。
ただ基金事業や給付事業などは、官庁・役所の考えだけでは即応性に欠けたり、不必要な事業の創設、ドサクサ紛れの事業も生じやすいだけに、監視が必要となるのではないか。
上記は一部割愛しています。
けんちゃんよりのコメント:これまでは中小企業への支援策が主であったが、☆印で拡大するとともに、★印の通りとうとう中堅大企業への支援も導入されたのが特徴的、との説明。
株式市場への対応の総裁に、「臨時異例の措置として」とあるが「政府の関係機関が市場から株式等を買い取る仕組みを整備する」とあるが、この関連法の審議の際に国策として救済する企業の基準が問題となるのではないか。
住宅・土地金融の円滑化の項では「大都市再生プロジェクトや地方の優良な都市開発事業などの支援」ともあるが、「大都市再生」や「優良な」の基準が明確ではないので、そこに役所の裁量や政治力が入ってくると利権などが心配されます。
けんちゃんのコメント:8割を上半期に契約し執行してしまえば、当然今年度下半期は残りの2割しか仕事が無くなるので、それに対応してこの補正予算を提出するとの説明です。
しかし…昨年度の一次補正、二次補正、新年度(21年度)予算の三段ロケットで景気を回復させるとの説明だったと思いますが…思った以上に効果が出ていないということでしょうか。そのうち2次補正を7月に提出するという議論が、衆議院か参議院の審議の過程で出てくるかもしれませんね。
下記三番目の21世紀型インフラ整備のようにばら撒けるだけばら撒いて選挙をやりたい、とそんな思惑が見えてきます。
上記は一部割愛しています。
けんちゃんのコメント:☆印は学校耐震化の早期推進と太陽光パネルをはじめとしたエコ改修、ICT環境の整備等を一体的に実施するとのことで、3年間で一体的実施としています。
★印は家庭などで発電した太陽光発電について電力会社が、当初は2倍で買い取る制度をつくるとのこと。3~5年後には半額程度に太陽光発電システム価格を低減するとのことです。
耐震化と一体的な整備ということですが、自治体に予算が分化すると対応学校数が減少するとか、学校の建て替えや統合などを進めている自治体では使い勝手に問題があるような気がします。
新エネルギーを促進するということには理解をできるのですが、今後の活用方法を良く見ておくことが必要かもしれません。
小水力発電について記載をされていますが、大規模なダム開発が否定されている中で、環境の負荷が低いなど水力発電としているようです。詳しい内容が記載されていないので気になるのですが、そこまで行政が農業の土地改良と併せたりして発電を必要とするのかどうか。環境影響なども気になります。この点はもうちょっと調べたいですね。
それと電力事業者などに非化石エネルギー導入拡大を義務付ける法体系の整備、というものが詳細にあります。太陽子発電などはともかく原子力発電の促進ということにも結びついてくると思うのですが、再処理、最終処理などの問題が残っているところをどうクリアするのか、難問が控えています。
また、低燃費車の助成については、すでに税制改正で減税が決定しているところですが、それに上乗せしての助成です。特に乗っている車が13年以上経過しているならさらに上乗せして助成されますので、買うつもりの方は200万円の新車のハイブリッドならほぼ3/4程度の価格で購入できるかもしれませんね。
しかしこれも今この時でなければならないのは不公平感をもたれるかもしれません。後で値上げ感が漂ってしまうのが心配といえば心配です。
(3)のインフラ整備についてはリニアなどの費用が入っていますが…実験線の工事などは庶民への恩恵はかなりあとになるかもしれません。
(4)の資源大国というのは、ネーミングだけが一人歩きしそうであまりとても中身が伴ったものではないようです。
上記は一部割愛しています。
けんちゃんのコメント:(1)の医療については医師や看護師が足りていない状況で、確保策をしても全国一律の支援となるわけですから、都道府県間で取り合いにもならないのではないかと心配しています。
また勤務環境の改善のために医師事務作業補助者の配置なども考えているようですが、公立病院の経営改善を求めている中では、人件費の増大はどこも避けたいというのが本音ではないでしょうか。効率が上がるように配置できなければ返って医療機関の存続を危うくするのではないかと考えます。
それから新型インフルエンザ対策については、この補正予算提出段階ではまだ鳥インフルエンザ対策のみが対象でブタインフルエンザは対象にするかどうか、まだ決定していないと聞いています。
(2)の介護ですが職員については、なんとか月15000円程度上がるように配慮したいとの説明でしたが、事業者への助成でどこまでできるか、審議が必要です。また施設整備や拠点整備についても、全国一律ではなく必要な場所を優先してつくっていく必要があると考えます。全体的に人への支援というより、施設などのハコに支援が偏っているように感じています。
(3)の子育て支援は、単純なばら撒きといわれても仕方がない側面があります。この点は対象外の子育て世帯に丁寧な説明が必要だと思われます。
《資料》経済危機対策 21年4月10日「経済危機対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議
http://www.kantei.go.jp/jp/asophoto/2009/04/090410kikitaisaku.pdf
尚、この補正予算の内容については、一部分のみ取上げていますので、全ての施策などはこの頁下部のURLよりご確認下さい。
Ⅱ現在審議中の21年度補正予算
1.緊急的な対策
①雇用対策
非正規労働者等に対する新たなセーフティネット(就労訓練型生活支援)の構築、雇用の維持、雇用機会の創出など緊急雇用対策の拡充、強化を行う。
《具体的施策》
☆雇用調整助成金の拡充
☆再就職支援・能力開発対策
☆「緊急人材育成・就職支援基金(仮称)」による職業訓練、再就職、生活への総合的な支援
・職業能力開発支援の拡充、強化
・障害者の雇用対策
・ハローワーク昨日の抜本強化等
○雇用創出対策
○派遣労働者保護対策、内定取消対策、外国人労働者支援
○住宅・生活支援等
けんちゃんよりのコメント:すでに民主党案で提出している法案に良く似ているのが☆印。内容としては若者や母子家庭など雇用保険から漏れてしまっている人たちへの支援策を含んでいる。との説明があった。
雇用創出対策では、緊急雇用対策基金の3000億円への拡充が盛込まれている。
これまで、派遣切りや内定取消などで泣かされてきた方への配慮が盛込まれてきており、やっとという印象だが、やらないよりはもちろんやったほうがいい政策が多いと感じられる。
ただ基金事業や給付事業などは、官庁・役所の考えだけでは即応性に欠けたり、不必要な事業の創設、ドサクサ紛れの事業も生じやすいだけに、監視が必要となるのではないか。
②金融対策
円滑な金融仲介機能の発揮を促すとともに、企業の資金繰り円滑化等、金融面での万全の措置を講じる。
《具体的施策》
○円滑な金融機能の発揮促進など
(金融円滑化のための特別ヒアリング、集中検査、金融機能強化法の活用促進)
☆中小企業の資金繰り支援
(信用保証協会による緊急保証枠の10兆円の追加など)
★中堅・大企業の資金繰り支援等
(日本政策投資銀行・商工中金の長期貸付枠(緊急対応)の8兆円追加など)
・わが国企業の海外事業などの資金繰り支援
・銀行保有株式取得機構の活用
・株式市場への対応
・住宅・土地金融の円滑化
など
上記は一部割愛しています。
けんちゃんよりのコメント:これまでは中小企業への支援策が主であったが、☆印で拡大するとともに、★印の通りとうとう中堅大企業への支援も導入されたのが特徴的、との説明。
株式市場への対応の総裁に、「臨時異例の措置として」とあるが「政府の関係機関が市場から株式等を買い取る仕組みを整備する」とあるが、この関連法の審議の際に国策として救済する企業の基準が問題となるのではないか。
住宅・土地金融の円滑化の項では「大都市再生プロジェクトや地方の優良な都市開発事業などの支援」ともあるが、「大都市再生」や「優良な」の基準が明確ではないので、そこに役所の裁量や政治力が入ってくると利権などが心配されます。
。③事業の前倒し執行
原価の経済・雇用情勢に対応し、雇用創出効果が一日も早く発揮されるよう、公共事業などについて実質的に過去最高水準の前倒し執行を進める。
《具体的施策》
公共事業に係る平成21年度当初予算の上半期の契約率については特別な事情があるものを除き、入札改革の進展も勘案して実質的に過去最高水準の前倒しである8割をめざし、最大限努力する。
けんちゃんのコメント:8割を上半期に契約し執行してしまえば、当然今年度下半期は残りの2割しか仕事が無くなるので、それに対応してこの補正予算を提出するとの説明です。
しかし…昨年度の一次補正、二次補正、新年度(21年度)予算の三段ロケットで景気を回復させるとの説明だったと思いますが…思った以上に効果が出ていないということでしょうか。そのうち2次補正を7月に提出するという議論が、衆議院か参議院の審議の過程で出てくるかもしれませんね。
下記三番目の21世紀型インフラ整備のようにばら撒けるだけばら撒いて選挙をやりたい、とそんな思惑が見えてきます。
2.成長戦略 -未来への投資
①低炭素革命
太陽光、低燃費車、省エネ機器等世界トップ水準にある環境・エネルギー技術の開発・導入促進、交通機関及び交通・物流インフラの革新等により、世界に先駆けて「低炭素・循環型社会」を構築するとともに、都市鉱山開発、国際的な資源獲得戦略等の強化等により「資源大国」を目指す。
(1)太陽光発電
太陽光をはじめとする新エネ・省エネ技術の普及を急加速するため「グリーン・ニューディール」構想、太陽光発電の導入抜本加速〔2020年頃に20倍程度に〕を図る。
《具体的施策》
☆スクールニューディール構想
★家庭等で発電した太陽光電力の電力会社による新たな買取制度
・公共建築物、住宅等への太陽光発電の導入促進
・小水力の普及促進
など
(2)低燃費車・省エネ製品
低炭素及び我が国自動車産業の競争力強化のため、我が国の優れた技術力環境を活かしつつ、次世代自動車をはじめとする環境対応車の開発普及を推進する〔2020年に新車販売の5割がエコカー〕。また省エネ機器の普及促進等を実施する。
《具体的施策》
○環境対応車への買い替えなど普及促進
☆グリーン家電(テレビ・エアコン・冷蔵庫)の普及加速
○住宅の省エネ化
○地域版グリーンニューディール基金の創設等
など
(3)交通機関・インフラ革新
運輸部門を中心とした交通・都市・地域の更なる低炭素化を進めるため、低炭素交通機関の世界最速開発、最速普及や低炭素交通、物流インフラの整備等を推進する。
《具体的施策》
○低炭素交通・物流インフラの革新(超電導リニア実用化技術確立など)
○高効率船舶技術開発
○非接触給電ハイブリッドバスの実用化技術確立 等
(4)資源大国実現
都市鉱山開発、国際的な資源獲得戦略、水処理技術の国際展開の強化等により資源大国日本を目指す。
《具体的施策》
○レアメタル等を含む製品のリサイクルシステムの構築
○石油等の上流権益確保への支援強化、海洋資源開発
○世界の水市場参入
○原子力産業の基盤強化
上記は一部割愛しています。
けんちゃんのコメント:☆印は学校耐震化の早期推進と太陽光パネルをはじめとしたエコ改修、ICT環境の整備等を一体的に実施するとのことで、3年間で一体的実施としています。
★印は家庭などで発電した太陽光発電について電力会社が、当初は2倍で買い取る制度をつくるとのこと。3~5年後には半額程度に太陽光発電システム価格を低減するとのことです。
耐震化と一体的な整備ということですが、自治体に予算が分化すると対応学校数が減少するとか、学校の建て替えや統合などを進めている自治体では使い勝手に問題があるような気がします。
新エネルギーを促進するということには理解をできるのですが、今後の活用方法を良く見ておくことが必要かもしれません。
小水力発電について記載をされていますが、大規模なダム開発が否定されている中で、環境の負荷が低いなど水力発電としているようです。詳しい内容が記載されていないので気になるのですが、そこまで行政が農業の土地改良と併せたりして発電を必要とするのかどうか。環境影響なども気になります。この点はもうちょっと調べたいですね。
それと電力事業者などに非化石エネルギー導入拡大を義務付ける法体系の整備、というものが詳細にあります。太陽子発電などはともかく原子力発電の促進ということにも結びついてくると思うのですが、再処理、最終処理などの問題が残っているところをどうクリアするのか、難問が控えています。
また、低燃費車の助成については、すでに税制改正で減税が決定しているところですが、それに上乗せしての助成です。特に乗っている車が13年以上経過しているならさらに上乗せして助成されますので、買うつもりの方は200万円の新車のハイブリッドならほぼ3/4程度の価格で購入できるかもしれませんね。
しかしこれも今この時でなければならないのは不公平感をもたれるかもしれません。後で値上げ感が漂ってしまうのが心配といえば心配です。
(3)のインフラ整備についてはリニアなどの費用が入っていますが…実験線の工事などは庶民への恩恵はかなりあとになるかもしれません。
(4)の資源大国というのは、ネーミングだけが一人歩きしそうであまりとても中身が伴ったものではないようです。
②健康長寿・子育て
地域医療再生、医薬品等新技術の開発加速や介護機能強化に重点的に取り組み高齢化の進展を内需拡大、雇用創出に活かし、我が国の新たな飛躍の糧とする。また安心こども基金の拡充等により、保育サービスをはじめ子育て支援の強化を図るとともに、厳しい経済情勢を踏まえ、学生・生徒が安心して学べる環境を整備する。
(1)地域医療・医療新技術
医療機関間の連携強化、地域における医師の確保により地域医療の強化を図るとともに、先端医療設備の整備を進め、拠点病院等を耐震化する。またがん等の戦略的分野における医療技術・医薬品・医療機器、新型インフルエンザワクチン等の開発を推進する。
《具体的施策》
☆都道府県が地域の医療課題に向けて策定する「地域医療再生計画」に基づいて行う、医療圏単位での医療機能の強化、医師等の確保等の取組を支援
★医療機能・設備強化
○がん、小児などの未承認薬の開発支援、審査迅速化、知見基盤の充実
◆新型インフルエンザワクチンの開発・生産体制の抜本強化
など
(2)介護職員の処遇改善・介護拠点整備
介護人材の処遇を改善し、人材確保を図るとともに、介護基盤の緊急整備により新たな雇用機会を創造する。
《具体的施策》
○介護職員の処遇改善やスキルアップの取組を行う事業者に対し、三年間の助成
○介護施設や地域介護拠点の整備に対する助成及び融資の三年間拡大
○社会福祉施設などの耐震化、スプリンクラー整備、施設に対する優遇融資拡充
など
(3)子育て・教育支援
保育サービスの充実をはじめとする子育て支援の強化を行うとともに、学生生徒等が安心して学べる環境を整備する。
《具体的施策》
☆不況下の子育て世代支援
★地域における子育て支援の拡充等
◆女性特有のがん対策
○教育費負担への支援
など
上記は一部割愛しています。
けんちゃんのコメント:(1)の医療については医師や看護師が足りていない状況で、確保策をしても全国一律の支援となるわけですから、都道府県間で取り合いにもならないのではないかと心配しています。
また勤務環境の改善のために医師事務作業補助者の配置なども考えているようですが、公立病院の経営改善を求めている中では、人件費の増大はどこも避けたいというのが本音ではないでしょうか。効率が上がるように配置できなければ返って医療機関の存続を危うくするのではないかと考えます。
それから新型インフルエンザ対策については、この補正予算提出段階ではまだ鳥インフルエンザ対策のみが対象でブタインフルエンザは対象にするかどうか、まだ決定していないと聞いています。
(2)の介護ですが職員については、なんとか月15000円程度上がるように配慮したいとの説明でしたが、事業者への助成でどこまでできるか、審議が必要です。また施設整備や拠点整備についても、全国一律ではなく必要な場所を優先してつくっていく必要があると考えます。全体的に人への支援というより、施設などのハコに支援が偏っているように感じています。
(3)の子育て支援は、単純なばら撒きといわれても仕方がない側面があります。この点は対象外の子育て世帯に丁寧な説明が必要だと思われます。
《資料》経済危機対策 21年4月10日「経済危機対策」に関する政府・与党会議、経済対策閣僚会議合同会議
http://www.kantei.go.jp/jp/asophoto/2009/04/090410kikitaisaku.pdf
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