5月1日に行われた健康福祉常任委員会協議会において、説明された内容と健康福祉部の製作した資料は下記の通りです。(尚**印は口頭による説明なのでメモによる)
質疑応答については、スペースの関係で別頁で記載することにします。

Ⅰ.健康福祉部長の概要説明

メキシコや米国を中心に発生していたブタインフルエンザ患者は、これらの地域に留まらず、世界各国で発生が確認されるなど、感染の拡大が続いております。
 海外の発生とはいえ、ボーダーレスの現在、メキシコからの直行便も到着する成田国際空港を抱える千葉県としては重大な事態と認識し、迅速な対応を図って参りました。
 そこで、これまでの本件の対応と今後の方針について、ご報告申し上げます。

(1)4月26日に各健康福祉センター等に相談窓口を設置し、県民からの相談に対応しております。
(2)県内で患者が発生した場合に迅速かつ適切な医療提供を行うため、県医師会、感染症指定医療機関、各健康福祉センター等による緊急合同会議を27日に開催し、対応の確認を行いました。
(3)28日に、WHOが新型インフルエンザの警戒レベルをフェーズ3から4に引き上げたことを受け、知事を本部長とする「千葉県健康危機管理対策本部」を設置するとともに、会議を開催し、発熱相談センターや発熱外来の設置など、県内での患者の発生に備えた対策について報告いたしました。
 知事からは、全庁をあげて対策に取り組むよう指示されたところであります。
 また30日にWHOは新型インフルエンザの感染が世界各国へ拡大していると事を受け、フェーズを5に引き揚げたところでございます。

幸いなことに、現在、日本国内では患者の発生はありませんが、今後、県内での患者発生を想定し、市町村会、県医師会、病院、その他関係機関と緊密な連携のもと、県民の方々の不安の解消を図り、健康被害を最小限に留めるよう勤めてまいりますので、議員の皆様の一層のご理解とご協力をお願い申し上げます。

(**尚、今朝横浜において高校生が感染の疑いがあるとの報道がありましたが、まだ感染が確定したわけではありませんので、ご理解下さい)


Ⅱ.担当課からの詳細説明

1.ブタインフルエンザの概要

 ■ ブタインフルエンザは1930年に初めて見つかった。
 ■ 今までに、ブタから分離されているA型インフルエンザウィルスの亜型は、A/H1N1、H1N2、H3N1、H3N2、H2N3である。
 ※尚、A型インフルエンザウィルスの亜型は、H(ヘモアグルチニン)の16種類(1~16)とN(ノイラミニダーゼ)の9種類(1~9)の組み合わせで決まり、全部で144種類ある(H1N1~H16N9)。

 ■ ブタの間で流行しているインフルエンザであり、通常は、ブタと濃厚に接触した場合に限りヒトに感染する。

 ■ ブタインフルエンザは鳥インフルエンザとは異なり、ヒト-ヒト感染例の報告があるが、感染は限定的である。

 ■ アメリカ合衆国では1年から2年に1人程度の割合で発生しており、2005年12月から2009年2月までは12名が確定している。

 ■ ヒトが感染した時の症状は、シーズンのインフルエンザ(**冬季に発生しやすい通常のインフルエンザ)と類似の呼吸器症状を呈するが、死亡例の報告もある。(**現在まで2例あったと記憶している)

2.今回のブタインフルエンザの状況

(1)4月30日現在のブタインフルエンザ患者の発生状況(確定患者数)--WHO(世界保健機構)及びCDC(米国疾病予防管理センター)からの報告--

アメリカ合衆国(CDC報告)
アリゾナ    患者数1 死亡者数0
カリフォルニア 患者数14 死亡者数0
インディアナ  患者数1 死亡者数0
カンサス    患者数2 死亡者数0
マサチュセッツ 患者数2 死亡者数0
ミシガン    患者数1 死亡者数0
ネバダ     患者数1 死亡者数0
ニューヨーク市 患者数50 死亡者数0
オハイオ    患者数1 死亡者数0
サウスカロライナ 患者数10 死亡者数0
テキサス    患者数26 死亡者数1
アメリカ合計  患者数109 死亡者数1(**死亡した1名はメキシコ人の1歳児との情報あり)
(以下WHOより報告)
メキシコ    患者数97 死亡者数7
カナダ     患者数19 死亡者数0
スペイン    患者数13 死亡者数0
オーストリア  患者数1 死亡者数0
ドイツ     患者数3 死亡者数0
イスラエル   患者数2 死亡者数0
ニュージーランド 患者数3 死亡者数0
イギリス    患者数8 死亡者数0

オランダ    患者数1 死亡者数0
スイス     患者数1 死亡者数0
合計      患者数257 死亡者数8

※この情報はWHO、CDCの公式発表から引用したもの
※この数字はブタインフルエンザウィルスA/H1N1が、検査により確認された患者数。

 ■ 今回のブタインフルエンザ感染例では、ヒト-ヒト感染が起きた結果、現在感染が7カ国に広がっており、この状況を受け、WHOは28日日本時間午前5時にフェーズ3から4に引き上げ、さらに30日は5とした。

(2)ウィルスの状況
 ■ 今回の原因ウィルスはA型インフルエンザウィルスで、亜型はA/H1N1である。

 ■ このA/H1N1は今までにブタから分離されている、A/H1N1やヒトから分離されているA/H1N1とは異なっている(**ヒト型のものとは違うモノである)ことから、シーズンのインフルエンザワクチンでは予防できない可能性がある。

 ■ CDCによれば、合衆国患者の13名のブタインフルエンザウィルスを検査した結果、アマンタジン及びマンタジンには耐性があるが、タミフル及びリレンザには耐性が無いことから、患者の治療にはこれら2剤が有効であるとしている。

(3)ブタインフルエンザ患者の主症状
 ■ 一般的なブタインフルエンザ患者の症状は、シーズンに流行するインフルエンザと同様、発熱、咳、のどの痛み、体の痛み、寒気、疲労感、等。場合によっては下痢や嘔吐症状を示す場合がある。

 ■ アメリカ合衆国の患者症状は前記と同様であり、軽症で推移している。メキシコでは肺炎による死亡者が発生している。(**不思議なところで、アメリカとメキシコのウィルスは同じものであるとわかっているのに、なぜメキシコでは肺炎など重症となるのかは現在調査中でわからない。)

 (アメリカ合衆国における患者の状況)
① サンディエゴ地域 16歳女性 4/5発病 4/9受診 症状:発熱・咳・頭痛・鼻水 ワクチン:なし 
② サンディエゴ地域 54歳男性 4/6発病 4/9受診 症状:発熱・咳・頭痛・鼻水 ワクチン:有
※②は①の父。2人の家族が軽い呼吸器症状を示しているため検査中。

③ インペリアル地域 41歳女性 4/12発病 症状:発熱・咳・頭痛・咽頭熱・下痢・吐気・筋肉痛 ワクチン:有 
※家族内では症状がある者なし、自己免疫疾患有、4/15入院、22日退院

④サンディエゴ地域 10歳男性 3/30発病 症状:発熱・咳・吐気 ワクチン:なし
※全ての症状は約1週間で回復、患者家族ともにブタとの接触無し、母・8歳の弟は4月はじめに症状有

⑤インペリアル地域 9歳女性 3/28発病 症状:発熱 ワクチン:なし
※患者家族ともにブタとの接触無し、4週間前に農業祭に参加、13歳の兄弟と同居の13歳の従兄が4月はじめに症状有

⑥グアダルーペ地域 16歳男性 4/10発病 4/15受診 急性呼吸器症状
⑦グアダルーペ地域 16歳男性 4/14発病 4/15受診 急性呼吸器症状


(4)感染様式と感染予防
 ■ ブタインフルエンザに感染したヒトからヒトへの感染は飛沫感染と接触感染(**接触感染とは、相手を触ったがために感染するのではなく、くしゃみや咳をした飛沫がヒトの手などにかかり、その手でドアノブを触るなどすることによって、ウィルスが手から物、物から手へと移り、その手で食事や口を触ることなどによって感染すること)

 ■ 予防には、(**通常のシーズンのインフルエンザの対策と同様)マスクの着用、外出から帰宅した時の「手洗い」「うがい」が有効とされる。さらに不要な外出を避けることも重要である。


3.これまでの対応

 ■ 4月24日(金)ブタインフルエンザ患者がメキシコを中心に米国でも発生しているとの情報を探知(CDC=米国疾病管理センターより)した。
 
 ■ 4月25日(土)健康危機対策室及び疾病管理課の両課で、WHO、CDC、及び厚生労働省等から最新情報を収集するとともに、各健康福祉センターや県医師会等に情報の提供を行った。

 ■ 4月26日(日)各健康福祉センター、疾病対策課、健康危機対策室、衛星指導課、畜産課、各家畜保健衛生所に相談窓口を設置した。また、庁内及び県警本部などの関係各課による「海外におけるブタインフルエンザウィルス感染例の発生に係る連絡会議」を開催した。

 ■ 4月27日(月)県医師会、感染症指定医療機関、健康福祉センター等による「海外でのブタインフルエンザ発生に係る関係機関等緊急合同会議」を開催した。

 ■ 4月28日(火)にWHOが「新型インフルエンザ」における警戒レベルをこれまでのフェーズ3からフェーズ4への引上げを決定したことから、知事を本部長とする「千葉県健康危機管理対策本部」を設置した。(**フェーズ4になったことから「感染症法」上の「新型インフルエンザ等感染症」として法的な対応が可能になった。)

4.健康福祉センター及び医療機関の対応について

【各健康福祉センター(保健所)】
(1)県民の不安や疑問を解消し、混乱等を防ぐため「発熱相談センター」を設置した。(**28日に設置、尚、相談窓口は25日から設置し業務を行っている)

(2)下記に該当する者(「対象者」)から電話を受けた際には、症状、発生時期、渡航歴などを確認したうえで、受診が必要と認められる者に対しては、保健所で指定医療機関と受診方法等を調整したのち、その内容を伝えて受診するように指示をしている。なお、受診に当たっては(**感染を広げないために)

①事前に医療機関に電話かけ受診方法の指導を受けること。
②公共交通機関を利用せず、自家用車等で移動すること。
③受診の際にはマスクを着用すること。

を併せて指導している。

(3)メキシコなどに渡航していた者が入国後検疫所の通報により、保健所が健康観察を行う。(**5/1から実施、現在300名のリストを入手)

※「対象者」
 ■38℃以上の発熱または急性呼吸器症状を呈しているものであって、次のいずれかに該当する者
  ・10日以内にメキシコ、アメリカ、カナダに滞在もしくは旅行したもの
  ・10日以内に、新型インフルエンザ患者と濃厚な接触歴を有するもの
 など(**現時点ではこの条件だが、流行地域が拡大をしているので今後も限定的にはせず弾力的に運用する)
 

【指定医療機関】
(1)感染拡大の防止を図るとともに、新型インフルエンザの診療を効率化し、混乱を最小限にするため「発熱外来」を設置した。

(2)対象者の受診に関しては、新型インフルエンザの封じ込め対策上の必要性から、保健所の指示により指定医療機関を受診させることとしており、保健所からの連絡があった場合は、受診方法等を打合せの上、適切な受入れを行う。

(3)受診した患者が有症状で(**迅速検査で)インフルエンザA型であった場合は、入院をさせて検体を採取し、保健所に連絡する。

※県内の指定医療機関は11機関。
(**県としては、医療機関に対して風評被害などが予測されるため対外的に公表をしていない。)

【一般医療機関】
対象者の受診に関しては、上記の通り保健所の指示により指定医療機関を受診させることとしていることから、一般医療機関では診療を行わず、保健所へ電話連絡の上、その指示に従うように伝えていただくこととした。

※参考 電話相談件数
(**25日0件)
26日1件
27日86件
28日144件
29日70件
30日285件
(**合計 586件)
※疾病対策課及び健康福祉センター(保健所)で受けたもの(市保健所を含む)


5.抗インフルエンザウィルス薬について
(1)新型インフルエンザが発生した場合、その有効な治療薬としては現在のところタミフルしかなく、治療及び蔓延防止を図り、県民の生命を守るために使用することとなります。

(2)県の備蓄量
49.6万人分(平成20年度末現在)
※政府、千葉県及び流通備蓄とあわせ、人口の23%分を備蓄
※なお、タミフルはインフルエンザ疾患の治療薬等として使用されているが、これを服用した一部患者の異常行動が問題になったため、厚生労働省では、報告された異常行動とタミフルの因果関係について、詳細な検討を行っているところです。

(**県の備蓄は平成18年・19年の予算で確保したもので49.6万人分。その他、国では千葉県分として同量を確保しており49.6万人分。流通備蓄は全国で400万人分を中外製薬に依頼して確保しており、千葉県分は20万人分である。)

6.個人防具について
個人防具については、入院協力医療機関に配備してあるほか、健康福祉センターに備蓄しており、(**健康福祉センター分については)必要に応じて医療機関に放出していくこととする。

・N95マスク:約6万枚
・サージカルマスク:約7万枚
・防護服セット:13900セット


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