■ 10月末の景気対策発表は思いつき

 10月末発表の政府の景気対策。一言で言えば対策と呼ぶにはお粗末な内容です。政府が独自に考えてきた施策は、以前実施して効果が疑問視されている施策が多く、また、実際に実行に移すための細かい調整もしていないものがあるようです。
 例えば給付金問題もそうですし、道路特定財源の地方交付の問題もそうです。

■ 迷走した給付金

 特に定額給付金は世論はおろか自民党内でも酷評され、その対応は目を覆いたくなるばかりでした。
 「定額減税」から「全国民に定額給付」と変化し、その後「所得制限をかけるべき」と閣内から反論、そして現場の自治体からは無理といわれます。結局「所得制限は自治体の判断に委ねる」と結論を出すことができませんでした。とても政策といえるシロモノではありません。

■ 政策転換の理由を説明すべき

 今回の景気対策には「農業の戸別所得補償制度」や「高速道路無料化」もどきの政策を、政府は採用しました。つまり、これまで「バラマキ」と批判していた民主党の政策を採り入れ180度考えを転換しています。
 また高速道路について言えば民主党の「無料化」に対して政府案は「休日のみでETC搭載車だけ減額」しており、恩恵を受ける国民がいないという似て非なる政策としてしまっています。

 更に財源にはこれまで政府がその存在自体を否定してきた「埋蔵金」を掲げてきました。
 これらの政策転換の理由を明確にするべきで、総理は説明責任を果たす必要があるのではないでしょうか。

■ 現場の自治体はどうなっているか
 
 千葉県では11月20日に総合経済対策を発表しました。10月16日に国会で成立した第一次補正予算を実施する内容で、中小企業融資枠の拡大と道路や橋梁、街路、港湾などの緊急工事などが盛込まれ、次の県議会に補正予算として審議されることになっています。
 しかしこの予算も、年度内に使われず翌年に繰越すことになりそうなのです(繰越明拠をする予定)。つまり一次補正予算ですら緊急対策にならない可能性があるという状態なのです。

■ 二次補正の先送りで

 景気対策は「スピード」こそが大切です。このままでは現場で使われるのがどんどん遅くなり効果がでません。補正予算提出で景気後退の不安感を軽減することが今の日本に必要なのです。
 しかし、麻生総理は第二次補正予算は来年に提出を先送りすることを発表しました。10月末に出された経済対策ですが、とりあえず発表しただけでは景気浮揚効果が生まれるはずもありません。絵に描いた餅ではいつまでたってもお腹は満腹にならないのです。

■ このままでは日本が取り残される

 11月9日にお隣の中国では57兆円の景気対策を発表し、各国から高く評価され存在感を示しました。
 ドイツでは11月5日に「投資プログラム」という大型景気対策(6.3兆円)を発表し、必要な法改正を7日に閣議決定するとの迅速な決断を行っています。
 またイギリスでは、最低でも一年間付加価値税(日本の消費税に相当する税)率を2.5%引下げる減税などを柱とした景気対策(2.9兆円)を発表し、12月から実施されることになっています。
 各国の対策に遅れをとれば、日本だけが評価が下がり「日本売り」でさらにひどい不景気がきてしまう。だからこそ早急な補正予算提出が必要ではないでしょうか。 

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