10月30日に発表になった追加経済対策について、各項目評価の追記です。


評価方法は◎=行ったほうがよい、○=異論があるが容認できる、△=要検討、×=見直すべき としています。


○中小企業向けの緊急保証と政府系金融機関等の貸し付けを30兆円規模に拡大
 民主案でも取り入れている。が、貸付額を安易に拡大すれば、その分当然、焦げ付きの可能性も高まる可能性もあり、審査方法や金融機関のチェック体制の強化が必要となるので、慎重な議論が必要。


△11月に地域建設業経営強化融資制度を開始
 建設業のみに限定しているところに疑問を感じる。地域の建設業支援としてもっと考えなければいけないのは入札制度におけるJVなどのあり方や、大手ゼネコンが上前をはねていく現状に対する仕組づくり、下請け・孫請けいじめのチェック体制強化、建設業従事者の所得確保策などのほうが有効かと考える。


◎中小企業に対する軽減税率の時限的引き下げ
 民主党案の柱のひとつでもあり、どの程度引き下げるのかによるが半減程度は必要ではないか。


◎中小企業の欠損金の繰り越し還付の復活
 民主党2003年税制改正より求めているものであり、1992年から凍結されている同制度の復活は遅すぎる感がある。

△下請法、独禁法違反行為への厳正な対処
 内容にもよるが、独禁法については厳正な対処がどの程度になるのか、かえって公正性が保てない内容では困る。民主党提案の下請けいじめ防止法などの内容に準じるなら当然◎。

△省エネ・新エネ設備等の投資促進税制
 税制改正内容によるが、投資・技術開発を促進する税制に加えて設置助成の実施なども必要ではないか。設備投資に対する税率軽減だけでは弱いと思われる。

△海外子会社利益の国内還流
 国内還流施策は恐らく税制優遇であると考えれば、関係省庁の説明でどの程度の税収影響が出るのか未知数で判断に迷いますが、海外に子会社を持っている企業で中小企業というのは一般的に考えづらいので、国内還流減税が大企業向け対象である可能性が強いと思われます。


×原油市場の安定化に向けた資源外交の強化や石油製品価格等の市場動向の監視
 資源外交の強化というのは、景気対策と呼べるのかどうか、むしろ遅きに失しているといわざるを得ません。石油製品市場の監視というのも、とっくにわかっていなければならないことであり、石油値上がり時に対策をとるとすれば暫定税率引き下げがもっとも効果的であったと思われます。

△日本版ESOP(従業員株式所有制度)の導入促進のための条件整備
 従業員が株式所有をすることによって、モチベーションを向上し、将来的には株式上場、創業者利益を受け取れるような仕組みとして考えていくことは重要なことかもしれないが、今、不況に入ろうというさなか、株式の現物支給をされても喜ぶ人は少ないのではないか。景気対策としては疑問。



×2010年度まで高速道路料金を引き下げ
 民主党の政策をなにか勘違いして導入しようとしているようにみえる。ETC利用者に対して、しかも土日限定という中途半端な施策では、一般人にも苦しい運輸業の助けにもならない。


×水田フル活用に取り組む農業者への支援
 そもそも減反を強要しているなかで、フル活用支援というところに矛盾がある。農業者支援をしたい気持ちはわかるが、来秋までの景気下支えの施策になるかといわれればその効果がほとんど見られないのではないか。

×住宅ローン減税や容積率の緩和などによる住宅投資の促進等
 金融危機のこの時点でローンを組もうと思っても、返済が固く見積もれる個人にしか融資は降りない。ローンを組める先行きの明るい方だけへの減税に景気浮揚が見込めるのか。確かに住宅着工率が高まれば、景気に一助があるかもしれないが、だぶついている中での効果は少ないだろう。容積率の緩和はまちづくりにも密接に関連するものであり、現時点でも緩和しすぎているなどの異論もあり安易に行うべきではない。

◎公共施設の耐震化等防災対策
 耐震化が即景気対策につながるわけではないが、10年間で一定の建築物しか耐震化できない計画しかない中で、ここにポイントを絞る意義は救えうる命は救うということであり実施できるのであれば行うべき。


△道路特定財源の一般財源化に際し、1兆円を地方の実情に応じて使用する新たな枠組み
 そもそも一般財源化に反対していた自民党が福田総理の決断で行うことにして以降具体的な話が出てきたのははじめてではないか。民主党の暫定税率廃止、一括交付金制度の導入などからすれば、地方の実情に合わせて行う分権にそった財源としては不足をしすぎだ。


△「地域活性化・生活対策臨時交付金」を交付
 現時点では内容がよくわからない。交付するのに地域活性化、生活対策という目的がつく以上は、相当な規模が必要であり、自治体との協議などが今後必要ではないか。


◇財源…赤字に頼らないという。それにこしたことはないができるのか。

△財政投融資特別会計の金利変動準備金を活用
 埋蔵金を使いたいというのはよくわかるが、施策を総合的に見ると中途半端な気がする。わが党としては、安易に無駄にに使うつもりなら残しておいて欲しいと思うが。


△持続可能な社会保障制度のため、消費税を含む税制抜本改革を速やかに開始し、2010年代半ばまでに段階的に実行
 2010年代半ばというのが2017年ごろまでとするなら、3~9年後までに段階的に消費税増税ということだが、可能な経済状態なのか。増税をするのであればその前に削るところを削るという議論が先行するべきであり、スタートするのが3年間で今の自民党にそれができるのかというと難しいのではないだろうか。


◎年末に税目の改革の基本的な方向性を明らかにした「税制抜本改革の全体像」を示す
 示すということに異論はない。

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