医療制度の怪

2008年6月17日 意見
道路特定財源が3月末に「期限切れをすれば大混乱をきたす」と説明して、政府・与党だったが、結果を見れば「大混乱」が発生したのは医療制度のほうだった。


 後期高齢者医療制度が施行されて3ヶ月近くが経過。もう、マスコミで散々取り上げられつくした感があるので、改めて制度の問題点をとりあげることはしない。が、またもや政府・与党は小手先の改正で「お茶を濁」そうとしている。


 政府の考え方は「高齢化で医療費が増大するため、少子化世代では負担が増える。今から将来負担を軽減しないと、制度の維持ができない」ということだと、知らされてきた。
 しかし、今後の医療費は果たして増大し続けるのか。そして現役世代は負担増を覚悟しなければならないのか。ここで今、よく考える必要があるのではないだろうか。


 というのも、医療経済学者が「医療費が高くなるのは、医療技術や薬剤、機器の進歩のため。高齢化に比例しているものではなく、国民所得で決まる。高齢化率が高い日本は他の先進国の対GDP費としても医療費は最も少ない。」と研究成果
を発表していいるからだ。


 国はこれまで2025年までに国民医療費が現在から倍増の65億円に達すると説明してきたが、その原因を高齢者医療に根拠を求めてきた。しかしその原因は違うと指摘されたのである。


 今、医療改正に必要なのは、現在8.9%の医療支出を「何%にするか」という議論をし、国民の合意を得ることだ。前述の2025年の65億円は金額こそ倍増だが率にして、およそ13%程だ。誰がどのように負担するかということはその後の議論だろう。


 そして真に医療サービスを持続可能にするためには、まず医師や医療従事者を養成・確保をすることだ。医療スタッフがいなければ医療サービスの供給は間に合わない。既に医師の平均年齢は約60歳に達し、現場に医療従事者が足りない、そ
の養成が急務なのだ。そして、薬の早期認証システム整備や医療紛争処理、保障システムの整備なども必要だろう。


 後期高齢者医療はいったん廃止、年齢や雇用形態による差別はなくし、公平な負担の下に平等に医療サービスを受けられる制度に改める必要があるのではないか。そのためにも医療保険の一元化、医療サービスの提供される自治体と保険がカバーする範囲の同一化が望ましいと考える。

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