【毎日新聞】<年金問題>第三者委、法根拠なく実効性不透明 国会焦点に
 「消えた年金記録」をめぐり、領収書を持たない人への支給の是非を判断する第三者委員会の実効性が終盤国会の焦点に浮上してきた。政府は「申請者の立場に立つ」と強調するものの、同委員会は急ごしらえのため法律で規定されておらず、実効性に不透明な部分が多いためだ。
 14日の参院厚生労働委員会。民主党の直嶋正行氏から「法律に根拠がない第三者委に、職権による証拠調べや証人出頭要請は可能か」と問われた田村憲久副総務相は「国民の権利を制限するものは今のところ想定していないが、検討中」と苦しい答弁を迫られた。
 第三者委は弁護士や税理士らで構成され、今月中に「戦犯」の厚労省ではなく、総務省に設置される。納付の領収書がなくとも、当時の銀行通帳や家計簿、本人の言い分などを照らし合わせ、「筋道が通っていれば(給付に道を開く)」(安倍晋三首相)という役割を負わせられている。
 ただ、第三者委は同省設置法で社会保険庁への「あっせん」しかできないのが建前。雇用主の証言も採用するというが、強権発動はできず、以前の勤務先が保険料逃れをしていたりすると証言を得るのは難しそうだ。「証拠」が本人の話だけの場合も審査の難航は避けられそうにない。
 社保庁の決定に対する不服申立先は、社会保険審査会法に基づき厚生労働省に設置された社会保険審査会がすでにある。06年度は、記録訂正に関する再審査請求を7件受け付け、1件を容認、6件を棄却した。これに対し、第三者委は同審査会で棄却・却下された案件も担当し、最終決定権を持つ社保庁も第三者委の結論に全面的に従う方針だ。
 それでも、不服ならば、裁判で争うことになる。しかし、形式上は社保庁の判断でも、実際の決定者は第三者委というねじれがあり、訴訟が混乱する恐れがある。窮余の策とはいえ、第三者委が法に基づく同審査会の上位に立つことには「違和感がぬぐえない」(法曹関係者)との指摘も出ている。
 政府内の足並みの乱れも露呈している。同審査会で棄却された人が、棄却時と同じ証言や資料しかそろえられない場合の第三者委の判断について、田村副総務相は「受け止め方もあり、まったく同じ結果とは限らない」との考え。一方、柳沢伯夫厚労相は「一事不再理。おのずから制約はある」と述べ、同審査会の判定を覆すには新証言なり資料が必要との考えを示唆した。
 社保庁の年金特別相談では、約2万人が「記録がない」と給付申請を却下されている。来月には総務省の地方機関などにも第三者委が設置され、全国300人態勢で審査が始まるが、肝心の納付の有無の判定基準さえまだ明確になっていない。全国に基準を徹底させるには、あまりにも時間が少ない。
 ◇第三者委員会 年金記録漏れ問題で、領収書などの証拠がない人に年金を支給するかどうかを判定するため、政府が新設する組織。弁護士、税理士、社会保険労務士らがメンバーで、月内に総務省、来月には全国の同省地方機関、都道府県などに設置される予定。総務省の委員会は、社会保険事務所から事例を集め、判定基準を作成。地方の委員会はこの基準に基づき作業を進めるが、判定が難しい場合は、総務省の委員会が審議する。


とりあえずメモ的に。

こんなで大丈夫なのか…!?

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