基礎年金番号統一によるデータ不備について
2007年6月2日 国会・国政年金問題について、安倍総理と菅代表代行の舌戦がありますが、参考までに。
【時事通信】民主の年金漏れ争点化をけん制=歴代社保庁長官の責任追及−安倍首相 6月2日21時1分配信
【民主党地方議員へのメールより】○安倍総理発言と、「消えた年金」問題の本質について 5月31日配信
<質疑応答>
○安倍総理の発言の真意について
○年金は選挙の争点になり得るか
○総理の「政争の具にすべきでない」発言について
【時事通信】民主の年金漏れ争点化をけん制=歴代社保庁長官の責任追及−安倍首相 6月2日21時1分配信
安倍晋三首相は2日午後、参院選に向けた遊説で訪れた大津市で演説し、年金保険料の納付記録漏れ問題について「こういうシステムをつくった1996年当時の厚相は、今、口を極めてわが党を攻撃している菅直人民主党代表代行ではないか。この問題で互いに非難するのは無意味だ」と述べ、年金問題を参院選の争点にしようとする民主党の動きをけん制した。
さらに首相は「96年にシステムを設計し、97年から導入して今日に至るまで、歴代社会保険庁長官を含めどんな問題があったのか。問題の所在、原因、責任を明らかにしていく」と述べ、有識者委員会で責任追及する意向を改めて示した。
【民主党地方議員へのメールより】○安倍総理発言と、「消えた年金」問題の本質について 5月31日配信
<質疑応答>
○安倍総理の発言の真意について
○年金は選挙の争点になり得るか
○総理の「政争の具にすべきでない」発言について
■安倍総理発言と、「消えた年金」問題の本質について
【代表代行】今日はもともと定例会見の予定でしたが、国会がこういう状況なのでど
うしようかと思っていましたがどうしても皆さんにお伝えしたいことがあったので、
急遽こういう形で会見を開かせていただきました。
いま「消えた年金」の問題が大きな争点になっていますが、今日の午後、安倍総理が
「そうした仕組みを作ったときの責任者・厚生大臣は菅直人である」という趣旨のこ
とを言われて、あたかも私にこの問題の責任があるような言い方をされたようです。
このことはすでに与党の関係者が何度か言われ、私自身もTVの場で片山参議院幹事
長からもそういうことを言われ反論したことがあるので、ある自民党の人に会って変
なことを言うなと指摘したら「それは有名税だよ」と言われたのですが、どうも総理
の口から出ると有名税ということで見逃すことはできません。嘘の情報でも何度もい
ろいろな人の口から言われた場合にはそれが本当となってしまうということをドイツ
の有名な宣伝相であったゲッペルスが言っていますが、嘘を繰り返す与党関係者に対
して、きちんとマスコミの皆さんに事実関係を申し上げておきたいということで会見
を開かせていただきました。
お手元に趣旨は書いてありますがまず事実関係を簡単に申し上げてみたいと思いま
す。年金制度が分立している中で基本的にそれを一元的に管理する必要があるという
ことで基礎年金番号を導入すべきだという議論がかなり以前からあり、それが衆参の
委員会で付帯決議がなされたのが平成6年でした。そして平成8年このときは私が厚生
大臣でしたが、橋本内閣の閣議において基礎年金番号の導入を閣議決定しました。自
社さ政権のときです。そしてその後、省令によって基礎年金番号の導入を私の名前で
決定させていただきました。
そして私が11月に厚生大臣を辞めた後、小泉純一郎厚生大臣の下で翌年平成9年1月か
ら基礎年金番号の実際の付与がおこなわれたわけです。
いま問題になっている5000万件の「消えた年金」の問題は、基礎年金番号を導入する
その趣旨は名寄せをおこなって過去に複数の年金の加入歴を1本にして未来に渡って
そのひとつの番号で管理しようということでしたので、名寄せということはこの年金
番号を入れる基本的な課題であったわけです。
ですから私が基礎年金番号の導入を決めるということは当然のこととして名寄せをきっ
ちりおこなうということを前提として決定したところです。しかし残念ながら実際の
名寄せ作業、つまり基礎年金番号の付与をして名寄せの作業が始まった翌年1月から
10年あまり経った今日まで、名寄せが完全な形でおこなわれなかった結果が5000万件
という名寄せができていないケース、つまり年金掛け金は払っているが基礎年金番号
をつけた人のどの人にそれが該当するのかわからないという状況が生まれたわけです。
そういった点でこの問題は基礎年金番号の導入決定自体が悪かったのではなくて、残
念ながら導入した後の名寄せ作業がしっかりと社会保険庁によっておこなわれなかっ
たことが今日のような事態を招いたことは誰の目からも明らかです。
もし私の決定がまずかったというのであれば安倍総理は基礎年金番号導入そのものに
反対をされているのか、与党の皆さんも基礎年金番号の導入自体に反対されるのかそ
のことを明確にしてもらわなければなりません。基礎年金番号導入ということは当然
のこととして、いま申し上げたような名寄せをするという前提でありますので、その
決定はいまも私は間違っていなかったと思っています。
ややもすれば与野党超えての責任だという言い方をされます。政治全体に対して野党
の議員であってもひとつの責任があることは当然のことです。しかしこの年金という
問題に特化して言えば皆さんもご承知のようにわが党は数年前から国民年金を含む一
元化法案を何度か提出して、一元化という方向での年金改革を提案してきました。も
し私たちが提案した時点でその法案が通って一元化の作業が進んでいれば、少なくと
も3〜4年前の段階からいま問題になっている5000万件の「消えた年金」という問題は
きちんとした対応を迫られていたはずです。そういう意味でわが党は年金問題に関し
てはとくに一元化という形で提案してきたわけですから、「民主党も与党も責任は同
じだ」という言い方に対して、この年金問題に関して民主党はきちんとした提案をし
てきたと申し上げておきたいと思います。
加えてわが党は年金掛け金を一切給付以外に使うべきではないということを法案とし
ても提出しています。さすがに最近はやめたといわれていますが、年金の掛け金をか
つてはグリーンピアとか福祉施設のゴルフボールなどに充てていたり、また数千億単
位で社会保険庁の事務費・コンピューター費等に流用しているわけで、このことにつ
いてわが党の法案はこの年金の掛け金流用を一切認めないという法律になっていま
す。残念ながらいま本会議にかけられようとしている与党自民党の法案ではそういう
ことが含まれていないということも国民の皆さんにしっかりとお伝えしておきたいと
思います。
<質疑応答>
■安倍総理の発言の真意について
【記者】安倍総理という行政のトップが直接代表代行の名前を挙げて批判をするのは
ある意味異状だと思うが、その真意をどういうことだと受け止めていますか。
【代表代行】非常に焦っておられるのでしょう。11年前しかも自社さ政権ですから、
もちろん厚生行政を直接担当していたのは私ですが閣議決定などは自民党の橋本総理
も当然その決定に携わっている、そういう時のことを、わざわざなぜ基礎年金番号導
入という決定を捻じ曲げていまの5000万件の「消えた年金」の責任が基礎年金番号導
入にあるかの如きことまで言うというのは、安倍総理は相当焦っていると受け止めて
います。
■年金は選挙の争点になり得るか
【記者】年明けから格差是正、政治とカネ、年金など争点が次々と増えてきています
が、年金問題が選挙の争点になると思いますか。
【代表代行】ご承知のように年金のことは2003年の衆議院選挙、2004年の参議院選挙
または2005年の衆議院選挙でもわが党としては年金問題を最重要課題のひとつとして
挙げていたわけですが、残念ながら2005年の選挙ではそれが必ずしもそれが争点化で
きなかったわけです。この問題はわが党にとっては十分な議論をした中での提案をし
ているわけですから、この参院選においても重要課題のひとつとして国民の皆さんに
民主党が提案する年金改革がいいのか、それとも10年経っても相変わらず「消えた年
金」を大量に残すいまの与党に任せるのかというのが大きな争点になると思っていま
す。
■総理の「政争の具にすべきでない」発言について
【記者】安倍総理が「政争の具にすべきではない」と言いましたが、それに対しての
感想は?
【代表代行】まさに“政策の争点”にすべきだと思っています。何度も繰り返します
が私たちは国民年金を含む一元化を言っています。それに対して政府は厚生年金と共
済年金の一元化だけをやればいいんだと言っています。厚生年金と共済年金の一元化
についてもこの国会に法案は出ていますが、まったく与党の皆さんはそれを進めよう
としていません。ですから政争の具にしないという言い方で自分たちがやってきた年
金改革の失敗を覆い隠そうとしているんだと。私たちはまさにどちらの政策、どちら
の年金制度あるいはどちらの政党が責任を持つことが国民の安心な年金制度の確立に
つながるか、これを選挙の争点として争うのは当然それはふさわしい課題であって、
政策の大きな争点として提示することは何の問題もないと申し上げておきたいと思い
ます。
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