姉歯建築設計の構造計算書の偽造が、柏市内のマンションでも行われていないか、確認を取ってみました。

柏市の建築指導課によると、今のところは柏市内のマンション建設に関わっていないという説明がありました。

建物を建設をする際は、建築確認が必要となります。
1998年以前はこの確認作業は行政が行ってきましたたが98年の法改正によって民間の指定確認検査機関でも、確認を行うことが出来るようになりました。

通常のマンションの建設についての流れをおさらいしてみると
(敷地面積が500?以上の場合、開発行為の申請→許可)←行政庁が許可する

?建築計画・設計
 企画→設計
  ※現在は分業されていて下請けに。
   通常は意匠・設備・構造と分業しているケースが多い
  (今回問題となっている構造設計を行った業者が姉歯。)
?確認申請
 (1)建築確認申請書の作成・申請
 (2)審査(消防庁の同意が必要)
 (3)確認(適合通知)
  ※この部分は98年まで、行政が作業7日または21日間で。
   法改正により、民間指定確認検査機関が行う事ができるようになった。
?工事段階
 (1)確認通知書受領によって工事着手できる
 (2)工事中に中間検査
 (3)建物完成後に完了検査(行政でも民間指定検査機関でもできる)
 (4)検査済証の発行

?完了検査合格によって初めて使用できる

という流れになっています。

今回の事件の流れでいえば
?はヒューザーや木村建設などが企画→設計業者に設計について業務を発注。→シノケンなどの設計業者が受注→(「姉歯」を使えと言われた、と設計元請業者談)→構造設計については下請け姉歯建築設計事務所に発注(構造計算書の偽造)。

?ではイーホームズが確認審査を行った。
(建設業者が、確認審査を「行政」か「指定確認検査機関(以下指定機関)」かのどちらで審査を行うかを選択することができる。「行政」と「指定機関」とを比べると、審査の手数料は同額・審査の期間は「行政」が7日なのに対し「指定機関」は4日、ということで「指定機関」利用するケースが柏市の場合は多い。割合としては柏市15%、指定機関85%)

?については、中間検査があったはずなのにそれも機能しなかったことが問題として上げられていますが、おそらく指定確認検査機関が検査を行っているはずです。

法令の不備な点はといえば、?と?の検査のうちで発覚できなかったこと(想定していなかったこと)があげられます。
?と?の検査業務のうちいずれかは行政で行うか、3指定機関で行うかなどのケアが必要なのではないでしょうか。

このような状況ですから柏市内のマンションの耐震強度は大丈夫か、と問われると、お住まいになっているマンションの構造などを再確認していただかなければ、全て大丈夫、と言える状況ではありません。
しかし、建築確認申請の書類の保存義務は3年とのこと。柏市の行政としては全てのマンションの構造などを再確認することはできません。
建設業者は保管をしているはず、とのことですが、建設者が倒産などをしているとお手上げです。
この辺りにも問題がありますが、国の法令に定められていることにはまだまだおかしいところが一杯あると感じます。

今回のケースが想定できない悪質なケースかもしれないが、被害者救済に対してケアすると同時に今後の為にもセーフティネットをつくらなければならないと思います。
法・令も最悪のケースを想定していなかったのですから、98年当時の法律改正を行った国会、国交省の大臣以下責任を取る必要があると考えます。
当然、姉歯建築設計はもとより当該の指定確認検査機関、建設会社・設計などに関わった営利業者が連帯責任を取ることも必要です。

しかし、結局損をするのは被害者をはじめとした国民の皆様です。そのことをきっちり胸に収めてこの事件への対処をしてほしいと思います。

コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索