解散総選挙

2005年8月8日 選挙
日本全国この話題でもちきりでしょうが、郵政民営化関連法案が圧倒的多数で否決され、衆議院が解散となりました。
総選挙の告示は8月30日、投票日は9月11日(日)の予定。

以下、解散が決まった後のインタビュー・記者会見について感想を申しあげます。

■あきれ果てた武部自民党幹事長の発言
まず、閣議で解散を決定したときにでた武部幹事長の発言、「郵政民営化に反対した人や政党は、小さな政府ではなく大きな政府を選び、役人を守り、役人の決定に従い、役人天国を容認する人たちだ」という発言について、法案の内容を理解しているのか、法案を作成したのが総務省の郵政官僚であるのを知っているのか、その見識にあきれました。
いままで、役人が作った法案を政府提出法案とし、さも自民党がつくったように賛成してきたのを棚に上げての発言。
民主党がいつ役人天国を容認したのか、役人の決定に従ってきたのか、明らかにしてほしい。
その言葉そっくりそのままお返しします、自民党幹事長殿。

■小泉総理の記者会見
選挙を意識した会見内容で造反議員もにくいけどそれに反対した民主党が悪いということを強調していました。今回の法案に反対したのは他の野党もあれば、身内の自民党の議員以外のひたすら郵政、郵政民営化だけについて国民の信を問う解散、という意識を植え付けようとするのがみえみえの会見でした。
更に郵政民営化に「反対した議員は公認しない!」「賛成する人だけ公認する」と明言しましたが、自民党執行部は必ずしもこの発言に沿った統一の見解をもっていない。新しい自民党であるというならば、新しい自民党が、総裁の言葉こそ国民との約束という意識があるかどうかという意識をぜひ見守ってみたいと私は思います。

■参院自民党の造反議員の処分を教えて欲しい
そもそも衆議院採決で可決したのに解散を行うということが、二院制の存在価値を失わせることになるのではないか、理解に苦しむといわれています。
解散総選挙に臨んで自民党総裁としての小泉さんの方針は「衆議院で否決に回った37名を公認しない」「衆議院で欠席棄権した議員は良く事情を聞いて公認するかしないかを決定する」とのことです。では参議院で否決に回った22名と8名の欠席棄権者をどのように処分するのか?実際に否決された参議院の処分をまず明らかにするのが筋で、反対票を投じた自民党参議院議員の処分を除名とするなどの処分をまず明らかにすべきではないでしょうか?

■郵政民営化に賛成か反対かを問う?
「今回の解散は郵政解散だ、国民の皆さんに郵政改革が必要か否かを問う選挙だ」と力を込めて熱心に語る小泉総理でしたが、郵政民営化だけを問う選挙ということでしょうか?
そんなことを言ったら、毎回ひとつのテーマごとに解散をして民意を問う必要が出てくるのではないでしょうか。例えば昨年の年金の議論が沸騰したときに解散総選挙を選択して「年金改革について民意を問う」という状況をつくって欲しいと思ったのは私だけではないはずです。
今回の選挙は、郵政民営化が国の改革の最優先事項だったのか、行政の長である内閣総理大臣が経済雇用・外交防衛・社会福祉・土木・環境・教育科学などの多岐にわたる分野で一番初めに取組まなければいけない課題であったのかを問う選挙だと私は思います。

■民間人に失礼?
「民間にできることは民間に(任せることによってコストダウンとサービス向上が期待できる)」
「郵政改革は民間にできることを民間に任せることだ」
「郵政三事業は公務員でなければできないのか、否、民間人だからこそ期待できるサービスが提供できる」
「過疎地のネットワークは国民的資産。それを守るために民間人に任せるんだ」
「民間人だから国民的資産を守れない」
「民間人に同じ仕事をさせたら即座に郵政事業はダメになる、だから反対だというのは民間人に失礼だ!」
こんな言葉を連発していました。

そもそも、民間にできることは民間に!という言葉は行政が行っている事業のアウトソーシング=民間委託を指していた言葉です。
しかし、今回の郵政民営化は違いますね。アウトソーシングなら委託をするのですが、今回は民営化、つまり公務員を民間人として処遇することになるわけです。
確かにそれによってコストダウンは図れるわけですが、仕事をしている人は全く一緒です。
働いてる人の身分は代わるわけですが、人そのものは全く変わっていない。
民営化されたから公務員が民間人と同じ仕事ができるのか、考えてみればそれこそ民間人に失礼だと思いましたが、どうでしょうか。

■郵政民営化を自民党の公約にした結果

郵政民営化は「改革の本丸」と位置づけたのはいつだったか。昨年末から、今年初めではないでしょうか。その前から小泉さんが郵政改革を訴えてきたのは、皆さんもご承知の通りです。
総裁選の総選挙・参院選の公約とし、その小泉さんを自民党総裁に押し上げたのは総裁選で投票したほかならぬ自民議員と党員です。
公約を守れるか守れないかの瀬戸際で反対に回って否決とした議員は誰だったか。過半数を得ている自民党の議員が欠席し反対して行われた結果です。
自民党内の議員が郵政改革を公約にした小泉さんを選んだのにもかかわらず、その後選挙公約にすることを合意したのにもかかわらず、公約を守らなかったのは誰なのか。自民党ではありませんか。
政権公約を守れない政党内の責任を民主党他野党に押し付けるのは筋違いであることは、ご理解いただけると思います。

■自民党の造反議員を前回選挙で公認したのは誰なのか
上記の通り、自民党の公約を守れない状況を作ってしまったのは誰なのかをお考え頂きたいのですが、郵政民営化法案に対して反対・欠席し、衆議院僅差・参議院否決にした自民党議員を公認したのは誰だったか、ほかならぬ小泉自民党総裁であるのは明らかです。
郵政民営化を自民党の公約として納得させるのが党総裁の役目であるし、納得していない議員がでてくるのならその責任は小泉自民党総裁にあるのです。
内閣総理大臣だからといってその立場が変わるわけではありません。
自ら公認をした責任、説得できなかった責任は小泉総理にあると私は考えます。

■誰が自民党総裁を小泉氏に選んだのか
そして前述の通り、自民党総裁は一般国民ではなく自民党議員・党員が選挙して選んだのです。選挙の結果圧倒的多数で小泉総理を選んだの誰なのか。
小泉総理の公約を知っていながら党総裁にしたのは誰なのか、その言っていることに反対なら党を離党すればいいのにしなかったのは誰なのか。
ぜひ考えていただきたい、と私は思うのです。

■「改革の本丸」は実は「改革の坂下門」
本丸とは城の一番高いところにあり、一番重要なものであり、一番触れづらい部分であり、国の統治のシンボルである、という場所ということはご承知の通りです。
一番奥にして、一番大事な部分、そういう印象を与えるものです。
しかし、構造改革の本丸といいながら、実際は「この程度の改革ができなくて、他の改革ができますか?」と問いかける小泉首相。
改革の一番重要な部分たる「改革の本丸は他にある」とみずから肯定しているものではないでしょうか。

郵政民営化は「改革の本丸」ではなく「改革の玄関口」「改革の坂下門」であり、一気に突破をしようとしたら反対派の狼士に襲われたというのが、今回の状況ではないでしょうか。

私は民主党が本来の改革の本丸である、国民にとっていま一番重要で、一番関心の高い「年金などの社会保障」の課題と解決策を訴え、政権政党となったときに真っ先に取組むことを訴えていきたいと思っています。

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